蕎麦好きの独り言(2015.01.15up)

その壱参、「謹賀新年」





遅ればせながら読者の皆様には謹んで新年のお祝いを申し上げます。

年末年始は仕事から完全に解放された休日を久しぶりに過ごした気がするのだが、寝正月を楽しむなどと言う甘い考えは我が家では通用しない。しかし暇を見ては滅多に出来ない読書も堪能した。


     


上記の本を日々少しずつ眺めていたのだが、どちらの著書も以前から興味のあった方々だが、中でも志田忠儀氏の著書のタイトルには飛びついてしまった。
朝日連峰を隅から隅まで知り尽くした仙人のような人で御年98歳となられたそうな。西川山岳会の名誉会長でも在られる。
方や鳥海のパイオニヤと言っても過言ではない斎藤清吉氏は、もうすでに亡くなられてはいるが、かつて鶴間池から行者岳へ通じる登山道を開設された人としても知られている。
どちらの方にも実際お会いしたことはないが、共に山好きにはたまらない内容の本である。

斎藤氏の著書によれば、冬の鳥海に初めて登った人は誰なのかという本文から始まる。それによれば大正13年3月とのこと、湯の台から入り外輪の辺りで敗退したらしいが、当時の記録が詳しく記されている。(不思議なことにこの登山者の一人とは大昔にお会いしたことがある)
方や朝日の主が初めて熊を射止めたのが15歳、その後多くの熊を捕獲したそうだが、二人の違いは山を生業にしたかどうかだろう。
どちらの著者も雪山のエキスパート、遭難救助の経験も豊富で色々書かれていたが、共に従軍経験もあったようで戦後は海外の山にも登られたようだ。どちらも一読の価値は十分にあると思う。

改めて感じたことは朝日、鳥海共に昔は自然豊かな山だったんだなぁと言うこと。もちろん今だって自然豊かな山ではあるが、当時は入山者が比較にならないほど少なかったようだし、動植物も豊かだった様子が本文からも想像できる。
また信仰の対象としての一面も備えているし、朝日軍道を筆頭として歴史的遺物も散見される。志田氏の視点は山を生活の糧とし決して冒険的な山行でないこと。方や斎藤氏の山は純粋なアルピニズム、山をとことん楽しんでおられること、もちろん少々の冒険も含まれるが、現代の登山スタイルに通じるものが感じられた。またご両人ともに若い頃はとんでもなくタフだったのがヒシヒシと伝わってくる。

時代と共に日本人の気質も大分変化し、ご年配の方々には戸惑いを覚える方も少なくないと思われるが、当時の山での体験等で生と死の狭間を行き来した人達の生き様は見習うべき事柄も多いと感じた。
昔の人は山に入れば酒を飲んで語り合い、時に争い、時に涙する。それが当たり前のことだったのだが、今の山小屋では8時消灯は遅い方、呑んで声が大きくなると苦情が出る。みんな明るい内に食事を済ませ日が落ちる前にシュラフに入る。爆睡する人もいるにはいるが皆さん本当に眠れるのかねな?
などと酒飲みの愚痴を綴ったところで誰もほめてくれないので…

秋頃から痛み始めた五十肩の治療も含めて、正月休みを通して温泉通いに終始したものの、未だ完治とは言えないが、少しだけ楽になったように感じている。
確かに体が温まると痛みを少しだけ感じなくなるのだが、帰宅すればまた同じ状態に戻る。いやはや我ながらやっかいな体になったもんだと嘆いても誰も助けてくれないので、気持ちを長く持って対処するより他にない。暫く山なんて無理なのだ。ああ、悔しいなぁ〜
何が辛いってそれはアレですよ。朝の雪かきの力が入らないこと…
昔は人間ブルドーザなんて言われた事もあったが、今は昔…ホントに朝になると情けない。

そんなこんなで蕎麦打ちの方も力が入らず、年越し蕎麦は毎年ある方からいただいているので、今年もすっかり当てにして首を長くして待っていた。ありがたくいただいた物は、相変わらずの名人芸で、十割蕎麦の鮎出汁のたれを堪能した。
その後は家人の作ったおせちを美味しくいただき時には外食も楽しんだ。馴染みの魚屋にも顔を出したが市場も正月休みゆえたいした魚もなく体良く帰された。

毎度の他力本願では申し訳なく、帰省者の要望もあって一度だけ蕎麦を打つ。
いやはや実に久しぶりの蕎麦打ち故、張り切って向かったものの気持ちだけが空回りして微妙な勘所はすっかり鈍っていたのが正直なところ、それでも何とか騙し騙し打ち上げた。新年一発目の蕎麦粉は旧平田町中ノ俣産の「でわかおり」、加水が少し足りなかったのか硬めで延ばすのに難儀したが、香り喉ごし歯ごたえ共に十分で、とっても美味しく仕上がった。さすが自画自賛するだけのことはあるとお褒めの言葉もいただいてめでたしめでたし。

また先日某スーパーで買い物をしていたら、蕎麦打ちの師匠と偶然出会ったので新年の挨拶をしながら情報収集、彼の年賀にも蕎麦打ちの情報が一言添えられていたのだが、今年は少し冒険して違う品種の蕎麦粉も使ってみたいと考えている。まずは先日遊佐町産の金俣蕎麦の粉を仕入れてきた。
三ノ俣の「さんゆう」では金俣蕎麦と銘打って手打ち蕎麦を以前出していたのだが、残念ながら止めてしまったようなのだ。非常に香り豊かで味わい深い蕎麦だったので残念で仕方ない。果たしてあの味が家で楽しめるかな? 近いうちに打ってみようと思っている。

それと少しこづかいに余裕が出来たら、こね鉢を買いたいと考えているが、粗大ゴミと化し家人に怒られることが確実なので、邪魔にならない置き場所を日夜ない頭で考えている。
ずっと台所にあった一番大きなボールで代用していたのだが、凝り性な上に道具から入るタイプなのでずっと我慢してきたのだ。
ボールだと縁が高くてこねる時に邪魔になってずっと不満に思っていたのだが、そろそろ我慢の限界が近づいてきた。
買ったら多分自慢げに(笑)ここにアップするでしょうな(汗)

と言うことで、偏屈極まるサイトですが今年もよろしくお願い致します<(_ _)>